部活動事故から考える

「高校でチアリーディング部の練習中に下半身まひの大けがを負ったのは、安全対策が不十分だったためとして、今春卒業した元女子生徒(18)が同校を運営する学校法人を相手取り、約1億8千万円の損害賠償を求める訴訟を名古屋地裁に起こした。

 訴状によると、元生徒は1年生だった2018年7月、他の部員2人の肩に乗り、前方宙返りをしながら飛び降りる技の練習中、マットに首や肩甲骨付近から落下。下半身まひの後遺症が残った。事故時、顧問教諭やコーチはおらず、元生徒は入部4カ月で技の習得が不十分な中、補助者を付けずに練習していたという。

 顧問教諭は具体的な技術指導や安全指導をコーチに一任、非常勤講師であるコーチは「自身は責任者ではない」との認識だったという。元生徒側は「責任者不在の状態だった」と訴えている。

 元生徒の両親は「学校側が事故の重大さを理解しているか疑問。私たちや事故に向き合って裁判に臨んでほしい」とコメント。学校法人の担当者は取材に「事故の責任を痛感し、反省している。誠実に対応し、地裁の判定が出れば従う」と話した」

(引用元:「指導者不在で宙返り、下半身まひに 元チア部員が提訴」2021年4月19日、朝日デジタル)

 

痛ましい「部活動事故」が起こりました。

いろいろ思うことはありますが、学校側を含む当事者の立場を考えると、コメントはしづらいです。

それでも1つ言えるならば、顧問もコーチも不在の状況で大きな怪我のリスクがある練習を行ってはならないことを、学校側が生徒側に周知徹底する必要があることです。

 

私の場合、部顧問とはいえ判断できないことは他の教員仲間(体育担当)に相談し実際に練習を見てもらったり、コーチが作った練習メニューを「部活ノート」として部員に書いてもらい共有したりしていました。職場環境に恵まれていたのかもしれませんが、それ以上に、私自身が注意しすぎてもしすぎではないと考えていたからです。実はこの考え方には、福祉関係で働いていた経験が影響しています。

 

「スポーツ事故」は、身体障害者の方々が障害を持つに至った出来事の中に一定の割合を占めています。特に、若い世代に見られるのが、バイクによる交通事故、スキーやスノーボードでの転倒事故などです。これらによる身体障害は「中途障害」と呼ばれます。「健康な自分」のイメージが強いため、障害を受け容れて生きていくことが難しいと言われます。

 

部活動は、運動部も文化部も、その時期にしか経験できない貴重な時間を過ごすことのできる、人生において価値ある体験につながります。一方で、やはり大人の目、指導者の視点が不可欠な活動でもあります。今後このような痛ましい事故が1つでも減ることを願ってやみません。

 

文責:セイコ教育進学相談室